納税の本質を知るための授業~渋谷区にある認定こども園「西原りとるぱんぷきんず」~

今回、理事長に日頃から大変お世話になっているで、🔗認定こども園「西原りとるぱんぷきんず」年長児向けに税の授業を行った。

この園はモンテッソーリ活動を取り入れ、子どもたちの自立性・集中力・概念把握力が非常に高い。
幼児でありながら、説明さえ丁寧に行えば抽象概念も正確に掴み取る
そんな“身体は子どもでも、知性は大人の入口に立っている”印象を受ける子たちである。

その集団で税の授業をしたとき、私はまるで 社会のマクロモデルを縮小して観察しているかのような錯覚に陥った。

目次

 「あなたはどう思う?」に全員が応答する環境

授業では必ず、子どもたち自身に「どう思う?」と問いかける。
主体性を引き出す問いだが、今日のクラスは全員が手を挙げるほど反応が強く、途中で「全員当てられなくてごめんね」と謝らざるを得なかった。

特に前半の概念説明では、女の子たちが積極的に発言した。
言語的理解が早い女児の特徴がそのまま現れ、抽象構造を掴む力が際立っていた。

“仕事”を始めると、男の子が前面に出始めた

今回は小学生向けの教材づくりとして、「おひねりを作る=仕事」を依頼した。
3個つくればお札1枚と交換できるというルールだ。

ここから、行動の分岐が一気に現れた。

① 3の倍数を身体で理解する子どもたち
ほとんどの子は3個作るたびに私のもとへ来て、お札に交換した。
これは「作業 → 報酬」の構造が身体に定着しやすい典型的な行動である。
②一部の男児は“ストック型”の戦略を取った
中には、6個、9個、12個と大量に溜め、最後に一気に交換する子もいた。
まとめて成果を確定させたいという合理性の快感が、男児側に出ていた。
交換作業の中断を嫌い、“作業フェーズ”と“報酬フェーズ”を切り分ける。
これは大人の労働行動にも通じる思考パターンだ。
③ 女児は「できた瞬間の達成感」を細やかに味わう
女児はタスクごとの差分の喜びを大切にし、リズムよく行動する傾向が強かった。
プロセスに価値を置く働き方である。

ここには、
概念理解では女児が先行し、合理化・効率化では男児が前面に出る
という典型的な性差が非常に純粋な形で現れていた。
幼児は社会化される前段階ゆえ、特性が“濁りなく”可視化される。
だからこそ、教育者にとっては極めて貴重な観察となる。

「半分を納税する」という葛藤と、公共性への気づき

今回も二宮尊徳の教え倣い、得たお札の半分を納税として出してもらった。
多くの子が「半分は多い!」と感じ、泣いてしまう子さえいた。

だがこの反応こそ、税の本質そのものである。

労働の成果

所有感

手放す痛み

公共性との葛藤

これらは大人でも避けて通れないテーマだ。
その現実を子どもたちは、言葉ではなく“感情”として学んだ。

最後に、税として集めたお金の象徴として配った「みかん」を手にしたとき、
子どもたちは笑い、「うれしい」と声を上げた。

公共財の本質を体験として理解した瞬間である。

授業後、子どもたちが握手を求め、「ありがとう」と伝えてくれたのは、概念が腹落ちした証拠だ。

同じ教育環境だからこそ浮かび上がった社会の姿

今回の年長クラスは、均一的で質の高い教育を受けてきた。
モンテッソーリ活動により、自律性・集中力・概念理解が非常に高く、知性の吸収力が平均して高い。

その均質性が逆に、個性の差、男女の特性、行動パターンの違いを際立たせた。

社会のマクロ構造をそのまま縮小したかのように、
個々がどのように「仕事」「報酬」「税」「公共性」に反応するかが純粋に現れ、教育者としてこれ以上ない学びの場となった。

学びの多い幼児ほど、社会のルールを早く理解する

今回の授業を通じて強く感じたのは、
教育水準の高い子どもたちは、社会の抽象構造を驚くほど早く吸収する
という事実である。

その子どもたちに対して行った税の授業は、
ただ制度を教える場ではなく、人間の行動原理・社会の仕組み・公共性の本質を、体験から理解する場として機能した。

そして何より、
今日の子どもたちの吸収率は、まさに“教育が文化として成立している園だからこそ”の成果だったと確信している。

 

  

須賀 孝太郎
おおたかの森ファーム 代表取締役
東京工業大学工学部を卒業後、工業デザイン事務所にてデザイン業務を経て、家業である税理士事務所に入社。そのノウハウを生かし経営コンサルティング おおたかの森ファーム株式会社 を設立。ボクシング好きの三児の父。
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