税理士事務所運営における月額顧問報酬にコンサルティングサービスは必要なのか?

このコラムは、前回お伝えした「税理士事務所の報酬の基本的な考え方・設定の仕方」の続きです。

前回の内容を踏まえて、今回は顧問報酬の付加価値とコンサルティングの範疇に関してお伝えしていきます。

目次

高い報酬を頂くなら税務以外のサービス提供は必須

前回の記事では「自社サービスの原価計算をしたうえで限界価格を設定しましょう」とお伝えしました。

設定した限界価格より高い報酬をいただける場合は、税務以外のサービスの提供が昨今においては必須です。

スポットで発生する業務はその都度費用を請求する

例えば認定支援機関としての手数料・インボイス登録費用など、スポットで発生する費用は都度ご請求を出せるようにしましょう。

一概にはいえませんが「相場はこれくらいだから」「今までそうだったから」となあなあに済ませていては、今後顧問税理士の変更のふるいにかけられてしまう恐れがあります

スポットで発生する業務の費用を請求するようになると、経営者から「今まではスポットの付帯業務も全て込みで対応してくれたのに」などの不満の声がでることはよくあります。

「時代によって」「自身の事務所の体制によって」などの理由はあるにしろ、経営者側にはその事情は黙っていても伝わりません。

それはこちらの話で経営者からそう思われてしまっては残念でなりません。

軽減税率・インボイス・マイナンバー・電子帳簿保存など、税理士が管理しないといけない情報はテクノロジーの進歩に従って増えてきています

スポットでかかる業務に関しては、しっかり説明したうえできっちりご請求できるような信頼関係を早めに構築することが大切です。

他の士業の方々への斡旋までをパッケージ化できるとベスト

顧問報酬としての価値のつけ方として「なんでも対応します」でははかなりの負荷があるのは間違いないです。

しかし「顧問契約は税理士のみとしか結んでいない」という中小企業経営者もかなりいらっしゃいます。

そのような経営者からは、下記のような他の士業の業務に関する相談も多々あるはずです。

  • 給与をはじめとする労務
  • 重任登記などの登記の管理
  • 契約書などのリーガルチェック

これらの要望に対して、究極の理想はそれぞれのプロフェッショナルの方々への斡旋までのご提案を、顧問税理士先生の方からしてあげることでしょう。

しかし誤った提案をしては、相手にも自身にも負担をかけることがあります。

「うちは、ここまでの業務には管理や提案ができます」「この件に関しては○○士にご相談ください」などという書面通知などを用意しておくのも良いかもしれません。

もし、そのあたりの管理業務も含めて積極的にご提案するのであれば、提携先の士業先生を備えて管理業務の報酬を月額に加えましょう

それも、できればしっかり報酬内訳に明記するのが望ましいです。

税理士は経営コンサルティングをおこなうべきか

経営コンサルティング業に関しは、さらに幅が広いです。

こちらも「顧問契約は税理士のみとしか結んでいない経営者」は「月額報酬内で当然のごとくやってもらえる」と期待はしている方が多いでしょう。

そのような方には、さらにコンサルティング業の報酬内訳とご提案が必要です。

積極的なヒアリング・提案は必須

コンサルティング業は、受注方式では足りないはずです。

積極的にヒアリングをし、税理士先生自ら提案していく必要があります。

提案をするためには、まずヒアリングが必要です。

定期訪問をしている場合は、雑談などから自然にコンサルティング業を引き出してきた先生も多いでしょう。

しかし、サービスを整えるのであれば、相手企業の現状や課題をヒアリングしたうえで積極的に提案をすることが大切です。

経営戦略・人材育成・組織再編などは、それぞれに異なったスキルが必要になります。

しかし、補助金申請・資金繰り・融資申請などは、税理士としての知見を活かして積極的な提案ができるはずです。

このあたりは、積極的に訪問や連絡をすることでニーズを拾え、先行して提案ができます。

訪問や連絡を通して経営者との信頼関係が構築できていれば「まずは税理士先生に相談してみよう」と経営者は思ってくれるはずです。

長年経営をしていく中で、企業が成長すれば相談役・会社顧問としての立場としての報酬をいただくことはコストパフォーマンスを上げる結果となります

よって、ほかの税理士先生との比較対象にもならなくなります。

税理士の本来の役割・使命を疎かにしてはいけない

一方、本来の税理士業務の基本中の基本は「正しい申告や納税をうながすこと」です。

これを逸脱してしまう行為や、コンサルティング業疲れ・キャパオーバーなどにより、心身ともに疲弊してしまう士業の方も少なくありません。

自身や事務所スタッフとのキャパシティー・バランスも加味したうえで、ほかのコンサルティング業やサービス業よりもさらに慎重な経営戦略が、税理士先生には求められます。

まとめ

おおたかの森ファーム株式会社は、顧問税理士と親密に連携をとり、中小企業の経営成長や危機管理をコンサルティング業としてお手伝いしております。

税務をきちんと行っていて、良心的な報酬額を頂いている税理士先生は税務に徹していただくのが最善かもしれません

顧問税理士先生のフォローとしてのコンサルティング業に関しては、弊社のサービス(https://otakanomorifirm.com/contact/)をご活用ください。

須賀 孝太郎
おおたかの森ファーム 代表取締役
東京工業大学工学部を卒業後、工業デザイン事務所にてデザイン業務を経て、家業である税理士事務所に入社。そのノウハウを生かし経営コンサルティング おおたかの森ファーム株式会社 を設立。ボクシング好きの三児の父。
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