新しい事業で補助金を使うべきか ~新規事業で補助金を使った方が良い場合と使わない方が良い場合がある

コロナ禍の混乱の中、新規事業を立ち上げる必要に迫られている中小企業は少なくありません。

コロナの影響による既存事業の伸び悩みが要因の場合もあれば、単純に会社をより大きくしていくため、または社会に貢献していくために新規事業を立ち上げるケースもあるでしょう。

そんな中で、多くの経営者は補助金を受けるか・受けないかの選択に迫られるはずです。

この記事では、補助金を使った新規事業戦略の良し悪しについて解説していきます。

どちらにもメリット・デメリットはあるので、よりご自身の会社に合った方法をとることが大切です。

ぜひ参考にしてください。

目次

補助金を受けずに新規事業を立ち上げるメリット・デメリット

まずは、補助金を受けずに新規事業を立ち上げるケースを解説していきます。

最大のメリットは自由度が高いこと

補助金を受けずに新規事業を立ち上げる場合、自由度の高さが最大のメリットとなります。

自社の目的に合ったチームを組み、予算・スケジュールなども社内の都合や状況に合わせながら自由に決めることができるはずです。

しかし、こ見方を変えれば「よくも悪くも自由度が高い」という少しネガティブな捉え方もできます。

デメリットは計画どおりに進まない可能性が高いこと

補助金を受けない場合は「社内の都合や状況に合わせながら自由に決めることができる」という性質があるため、計画通りに進まない可能性がどうしても高くなります。

  • 問題が生じた際の実行速度が鈍化する
  • 本事業の状況に合わせて進行が鈍化する
  • 開始前の事業計画に甘さがあり、中断を余儀なくされる

    新規事業戦略に対しての経験値がないと、上記のような問題に陥りがちです。

    一度勢いを止めてしまうと、そのままダラダラ・なあなあとなってしまうケースは少なくありません

    日本の中小企業は、もともと勤め先での人の縁や、サービスから独立して法人化、事業継承での事業開始などのきっかけがほとんどです。

    一から新規事業を計画的に展開できているケースは少ないでしょう。

    また日本人の気質上、新規性が高ければ高いほど資金や人が集まり辛い傾向があります。

    営業も人海戦術がメインとなるはずです。

    事実として、日本は一から新規事業を立ち上げることが難しい国なのです。

    それに加えて今はコロナで国内経済の先行きがあやしいため、なお投資側の財布のヒモが固くなっています。

    よって新規事業の策定はハードルが高く、リスクを考えると補助金の存在は魅力的に感じるのです。

    補助金を受けて新規事業を立ち上げるメリット・デメリット

    続いて、補助金を受けて新規事業を立ち上げるケースをみていきましょう。

    最大のメリットは資金面のスケールアップ

    補助金の最大の魅力は、資金面が大きくスケールアップすることです。

    補助金は、事業実行費用の1/2・2/3など、資金面の大部分をサポートしてもらえます

    1,000万円の自己資金を予定してる場合、もし2/3の補助率で補助金を受けられれば、3,000万円規模の事業をおこなうことができます。

    もちろん、3,000万円の投資をするのであれば、補助金を得ようとも2,000万円の収益では赤字事業です。

    よって、存続意義は低くなります。

    補助金はあくまで補助であり、補助金分の事業予算を無いものとして考えるとうまくいかなくなるのです。

    綿密な計画が必要なことはデメリット?

    補助金の大きなメリットを考えるとやらない手はないように思えるでしょう。

    しかし、「タダより高いものはない」とはよくいったもので、実際はそう簡単ではありません。

    申請からの採択はもちろん、そのあとの交付請求・完了報告・事業報告など、事業計画を進めながら常に補助金の事務局への報告などが欠かせません。

    そのため、少なくとも1名の補助金用の人材が必要です。

    更に、補助金には期限があります。

    申請日も決まっており、予算を使い切る期限もあります。

    しかし、これは裏を返せば「その期間内にやり遂げないといけない」という切迫感から、綿密なスケジュール管理をするきっかけになります。

    補助金を受けない場合のように、本業が忙しいから・人材が不足したから・協力業者とケンカしたからなど、わがままは通用しません。

    そのためには計画力と補助金を受けた上でのしっかりとしたビジネスプランの策定が大事になります。

    補助金を受けることは、ゴールではなくスタートラインに立つための準備にしか過ぎないのです。

    補助金を受けるからには計画完了までやり遂げなければならない

    補助金の採択が決定しても、途中で事業を辞めてしまえば一定の金額、もしくは全額を返還しないといけません

    仮に採択の直後にトラブルが発生し、補助金を辞退する場合であっても、補助事業業者への違約金、社内の工数を考えると被害額は甚大です。

    つまり補助金を申請をするからには、どんな苦難やトラブルがあっても何としても完了しなければなりません。

    また、完了したからには収益に結び付けないと、自社の手間に手間をかけて補助事業業者へ仕事を供給しただけのボランタリーになってしまいます。

    補助金申請を検討する際に考えるべきこと

    補助金申請のタイミングは、新規事業を策定し、しっかりとした予算・スケジュール・収益分析などを行なったうえで「そのプロジェクトにピッタリはまる補助金制度があったとき」がベストです。

    また、補助金申請が不採択になったときの計画も重要です。

    予算をスケールダウンしてすすめていくのか、次の回の補助金に再申請するのか、その場合何回までとするのか。

    あくまで予定ベースでも計画を立てておかないと、新規事業の先行きがグラグラと揺れ動いてしまいます。

    補助金申請は、恐らく思っている以上に大変です。

    • 調査不足でバタバタしてしまう
    • 補助事業業者に足元を見られてしまう
    • 申請・報告を委託した事業者のコストがどんどんかさんでしまう

    上記のようなリスクを回避できるよう、しっかりと準備を進めなければなりません。

    ただし、考え方によっては補助金申請は良い経験になるはずです。

    仮に新規事業がうまくいかなかったとしても、補助金を受けながら新規事業をおこなうという一連の経験をやりきることは、社にとってプラスになります。

    しかし、逆に事業の失敗や補助金申請にまつわる一連の煩わしさがトラウマになってしまえば、会社の成長を止める副作用をおこしてしまうのです。

    まとめ

    当社としては、まずは小規模・短期スケジュールの事業に対して小規模な補助金から利用してみることをオススメします。

    それによって補助金のイロハを習得し、新規事業戦略の成功や失敗を経て、大きなスケジュールの事業や高額な補助金申請にトライしてくのが最善です。

    「どこどこの会社は、一発で数千万円の補助金が通ったらしい」

    一見うらやましい話ですが、滞りなく補助金がおりて、なおかつその新規事業が成功させたかどうかが重要になります。

    当社はクライアントのリスクを極力最小にし、新規事業をお手伝いすることを目標としております。

    補助金を含めた新規事業の検討の際は、おおたかの森ファーム株式会社(https://otakanomorifirm.com/contact/)までご相談ください。

    須賀 孝太郎
    おおたかの森ファーム 代表取締役
    東京工業大学工学部を卒業後、工業デザイン事務所にてデザイン業務を経て、家業である税理士事務所に入社。そのノウハウを生かし経営コンサルティング おおたかの森ファーム株式会社 を設立。ボクシング好きの三児の父。
    よかったらシェアしてね!
    目次