零細オーナー企業にとって、顧問とはどういう存在なのでしょうか。
「前社長の相談役」「取引先をつないでくれるフィクサー税理士」「弁護士などの外部顧問」「大手企業出身者」などと顧問契約している零細企業は多いでしょう。
コロナ前まではいずれも戦略上必要性があったはずです。
この記事では、移り変わりが激しい昨今における零細企業の顧問の存在意義を熟考していきます。
場合によっては、勇気ある見直しが必要かもしれません。
零細企業における顧問の存在意義
零細企業の顧問の人選には、以下の4つのパターンが多いはずです。
それぞれのパターンにおいて、顧問の存在意義を解説していきます。
前社長の相談役が顧問になる場合
前社長の相談役だった方は、創業者であったり父親であったり、現社長や経営者と大きなつながりのある方です。
創業数十年などの会社であれば大きな功労者であり、色々な苦難を乗り越えてきている知恵もあります。
その知見は利用したいところですが、昨今の悪い状況おいては相談役が会社内で権力を保持し続けることには大小のリスクが伴います。
確かに暦年の知恵や判断は力になりますが、「よしわかった 俺にまかせておけ!」という展開はかなり厳しいですね。
特に、コロナを機に世間や企業を取り巻く環境や、事業の組み立て方は大きく変わりました。
変な気を起こされたり、過去の知見だけで舵取りされたりすると、新規事業が組織崩壊につながりかねません。
取引先をつないでくれるフィクサーが顧問になる場合
取引先をつないでくれるフィクサーは、会社の重要な筆頭取引先との口利きをしてくれたり、有力者のあっせんからのシェア獲得を請け負ったりなど、その企業の成長の分岐点になっているキーマンだといえます。
そんなキーマンの梯子を外しては、業界から締め出されてしまうかもしれません。
しかし、フィクサーに顧問を任せている状態だと、その方に払う報酬・ぐるぐる回って自社に来る発注など、コストの上積みで価格転嫁せざるを得なくなります。
商品力とコストが見合わず、中長期的に自社の製品に魅力がなくなってしまうかもしれません。
「もう自社の製品はここの会社しか買ってくれない」という状況になると、事業戦略や商品展開は難しくなるでしょう。
税理士、弁護士などの外部顧問の場合
税理士や弁護士、社労士を顧問契約している会社は少なくありません。
弁護士を顧問として契約するケースは、法律による自社防御などの機会が多い企業です。
労務災害が多い環境に置かれている企業は、社労士を顧問として契約するケースが多いでしょう。
税理士は、報酬体系や経理とのやり取り機会の多さから。毎月契約としての顧問契約が多いはずです。
士業の方々は、それぞれの分野でのプロです。
ただし、経営のプロではなく、商品開発・マーケティングのプロでもありません。
とはいえ、多様な知見をもっていることは間違いないです。
士業の方々が持つ多様な知見を、零細企業経営者が掘り起こすことは難しいのが実情です。
「何かためになる話が聞きたい」など、受け身の体制では先方から提案が挙がることはないでしょう。
なぜなら、顧問契約内にコンサルティング業務を入れている士業の先生でないと、本業の法律に関する業務以外の提案をするリスクをとらないからです。
士業の顧問料は、数万円単位の比較的安価なケースが多いです。
そのため、見直しの機会を持たずにそのままきてしまっている企業は多いでしょう。
大手企業出身者が顧問になる場合
日本は、高度経済成長期の頃から世界的に見ても優秀な世界的な大企業が多い国でした。
その頃の大手企業で、ある程度の地位にいた方の知見やコミュニティは世界的レベルであったことは間違いありません。
かつての日本では、そのような方をヘッドハンティングが零細企業の加速的な成長には必須だったはずです。
しかし、今の日本は非常に厳しい状態です。
日本の大企業が絡むことで、より状況が悪くなるというケースをよく聞きます。
中間仲介業者が多いため価格が高騰したり、下請けが基盤を築いていたりするため一体感がなかったりなど、商品力競争も他国や国内外資に劣っているケースが頻発しています。
そのような中で、大手企業出身者の取締役は、自身のノウハウを今の時代にコンバートできないと零細企業の役には立てないかもしれません。
顧問は会社のブレーンであり、キーマンである
ここまで解説してきたように、特に近年は既存の顧問が自社のためになっていないケースが多くなっています。
かつてのような方法では、事業戦略がうまくいかない時代になってるのです。
顧問という存在はあまりにも大きく、そのポジショニングを誤ると貴重なチャンスも棒に振ってしまいます。
顧問=会社のブレーンであり、キーマンであることを再認識しましょう。
勇気ある見直しをしていかないと、3年・5年後には全く戦えない会社になってしまうかもしれません。
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