刺さりやすい人への警鐘

共感や心のつながりを大切にする人にとって、自分の悩みに寄り添ってくれるサービスは魅力的です。でも、そんな心理を利用して「すぐに稼げる」「短期間で成功できる」といったサービスには要注意です。こうした言葉が使われている場合、多くの場合リスクが高く、搾取が目的のことが少なくありません。

このコラムでは、金銭的な即効性の危険性や、そうしたビジネスの実例を挙げながら注意点を解説します。

即効性をうたうサービスの問題点

「短期間で大きな成果が出る」「簡単に収益が得られる」といった文言は、一見すると非常に魅力的ですが、実際には以下のような問題が潜んでいます。

    1. 持続性がない:一時的な成果に過ぎない
      即効性を強調するサービスは、一時的に成果が出るように見えるものの、持続的な収益にはつながらないケースが多いです。例えば、「一度の投資で短期間に大きなリターンを得られる」とうたうビジネスは、参加者が一定期間利益を得た後に失速し、最終的に損失を招くことが一般的です。
    2. 依存関係を形成しやすい
      即効性をうたう商材は、購入者に短期的な成果をちらつかせ、さらに支払いを促すような手法を取ることが多いです。例えば、初期費用だけでなく「より成果を得るための追加費用」や「さらなる成功のための特別プラン」など、追加支払いを次々と促すケースが典型的です。依存関係が深まると、購入者はその商材やサービスから抜け出すのが難しくなり、金銭的損失が膨らむ傾向にあります。
    3. 心理的な操作が入りやすい
      即効性をうたうサービスは、感情に働きかけ、冷静な判断を鈍らせる手法をよく用います。たとえば、「この機会を逃すと成功のチャンスを失う」「今決断しなければ、他に成功の道はない」といったフレーズで、消費者が慎重に考える時間を与えずに購入を急がせます。このような手法により、消費者は正常な判断を失い、誤った選択をしやすくなります。
即効性が原因で問題を引き起こした事例
    1. 事例1:高額投資プログラムの罠
      ある投資プログラムでは、「1週間で投資金額が倍になる」と謳い、多くの人が短期間の収益を期待して参加しました。最初のうちは利益が得られたものの、次第に新たな資金が必要になり、追加の支払いを求められるようになりました。最終的には「もっと投資すればさらに大きなリターンが得られる」と誘導され、多額の損失を抱える参加者が続出しました。短期的な収益に目がくらみ、冷静な判断を失った結果、深刻な経済的被害を被ることになった典型的な事例です。
    2. 事例2:ネットワークビジネスの初期成功の罠
      あるネットワークビジネスでは、「このビジネスを始めればすぐに安定収入が得られる」と説明され、多くの人が魅力を感じて参加しました。最初の数ヶ月は一定の収益がありましたが、次第に販売する商品やサービスが増え、追加の費用や在庫を抱える必要が生じました。結果的に、初期の「簡単に稼げる」という文句とはかけ離れた現実に直面し、参加者の多くが経済的な損失を被りました。

金銭的な即効性に惑わされないための心得

  1.  冷静な判断のための時間を設ける
    即効性や短期間での成果を強調されたときは、一度立ち止まり、時間をかけて他の選択肢やリスクを考慮しましょう。信頼できる第三者に相談することも有効です。
  2. 返金制度や契約解除の条件を確認する
    本当に価値のあるサービスであれば、返金制度が整っているか、契約解除が簡単にできる場合が多いです。逆に、返金や解除が困難な場合、リスクが高いと考えたほうが賢明です。
  3. 長期的な視点を持つ
    金銭的な利益は本来、短期間で得られるものではなく、努力や時間の積み重ねによって得られるものです。即効性のある金銭的な利益をうたうビジネスに対しては懐疑的な視点を持ち、長期的な視点で判断することが重要です。

 結論

即効性をうたうビジネスは、一時的な魅力に惑わされやすく、冷静な判断が難しくなることがあります。特に、共感や感情に訴えられやすい人ほどリスクが高いです。

「今すぐ稼げる」といった言葉に心を動かされたときこそ、慎重になり、信頼できる第三者の意見を求めることが大切です。

須賀 孝太郎
おおたかの森ファーム 代表取締役
東京工業大学工学部を卒業後、工業デザイン事務所にてデザイン業務を経て、家業である税理士事務所に入社。そのノウハウを生かし経営コンサルティング おおたかの森ファーム株式会社 を設立。ボクシング好きの三児の父。
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