肩書や経歴だけで戦う時代は終わり?共感を生む新しい自己表現のカタチ

ビジネスシーンでは、今や「肩書」や「経歴」だけでは以前ほどの効果がありません。昔、軍隊の勲章や政治家の経歴が「すごい」と思わせた背景には、「権威効果」や「ヒューリスティック思考」といった心理学的な要因がありました。人は肩書や勲章に信頼を寄せる傾向があり、これが価値だと感じやすかったのです。しかし、肩書だけでは本質的な能力を保証しないと気づかれるようになっています。

今の強いリーダーたちは、肩書に頼るのではなく、自らの「失敗」や「挫折」をオープンにすることで共感を得ています。例えば、サティア・ナデラやサイモン・シネックは、肩書の裏にある「実績」や「価値観」を率直に語り、深い信頼を築いています。

では、どうすれば共感を生む自己表現ができるのでしょうか?以下のポイントが参考になります。

1. 実績をストーリーで伝える

「過去にどんな肩書を持っていたか」ではなく、「どのような挑戦を経てどのような成果を出したか」を、エピソードと共に伝えることで、実際の影響力や経験が感じられます。たとえば、過去のプロジェクトで直面した問題とその解決法、得られた学びを具体的に語ることで、肩書に頼らない価値が浮かび上がります。

2. 失敗や挫折も包み隠さず共有する

現代のリーダーにとって、「失敗を隠す」ことはむしろ信頼を損ねるリスクになりつつあります。自分の弱さを見せることで、他者も「この人は信頼できる」「安心してついていける」と感じるものです。Netflixのリード・ヘイスティングスは、自らの失敗をオープンにし、常に学び続ける姿勢を見せることで、従業員やパートナーからの信頼を築いてきました。

3. 他者からの推薦や評価を活用する

自分の価値を自ら誇示するよりも、他者からの評価や推薦が、信頼性を増します。過去の同僚やクライアントからの声を紹介するなど、「自分に何ができるか」を他者の言葉で示すのも効果的な方法です。

4. 共感を呼ぶ価値観やビジョンを語る

リーダーとして、社会や組織にどのような貢献をしたいかというビジョンを表現することで、単なる過去の実績よりも未来の可能性に期待を抱いてもらえます。サイモン・シネックが語るように、「何をするか」よりも「なぜそれをするか」が重要です。

これからのリーダーに求められるのは肩書ではなく、人間らしさ

ビジネスの世界で肩書や勲章が唯一の価値基準だった時代は過去のものです。今の時代、共感を生む自己表現が、リーダーとしての真価を問う鍵となっています。

須賀 孝太郎
おおたかの森ファーム 代表取締役
東京工業大学工学部を卒業後、工業デザイン事務所にてデザイン業務を経て、家業である税理士事務所に入社。そのノウハウを生かし経営コンサルティング おおたかの森ファーム株式会社 を設立。ボクシング好きの三児の父。
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