先日、奈良県宇陀市にある学習塾「晴れ舞台」さんにて、「不安の可視化圧縮」をテーマにしたワークショップを行ってきました。
参加したのは、中学3年生の女子生徒5名とその保護者の方々、そして市役所関係者や宇陀市議会の勝井議員。大人に囲まれながらの、少しトライアル的な授業となりました。
学習塾での初めての出前授業
振り返ると、学習塾での出前授業は今回が初めてでした。
学校でも家庭でもない “ 第三の学びの場 ” としての塾の存在意義を、改めて強く感じる機会となりました。
「晴れ舞台」さんは20代の若い経営者が運営する塾です。生徒たちと同じ目線に立ちつつも “ お兄さん的な立ち位置 ” で関わり、まるで寺子屋のような学び合いの空気をつくっているのが印象的でした。学校や家庭とは異なる役割を持ち、地域に根ざした新しい教育現場として機能していることが実感できました。
「不安」にどう向き合うか
今回のワークショップでは、「不安」というテーマをあえて前面に出しました。
学習塾側のまとめもとても示唆に富んでいました。
不安は悪いものではない
人間に組み込まれた自然な感情であり、全く不安を感じないことの方がむしろ危険信号かもしれない。
解決策としてのアウトプット
自分の現状や感情をノートに書き出す、あるいは信頼できる人に話す。
そうすることで愚痴ではなく客観的に自分を眺めることができる。
中3生へのメッセージ
これからも人間関係や進路で不安は必ず出てくる。一人で抱え込むのではなく、ノートに書き出す、信頼できる人に話す。そのうえで不安に対して行動することが、将来大人になったときのより大きな不安に向き合う練習になる。
保護者へのメッセージ
子どもの不安には「答えを教える」のではなく「一緒に考える」姿勢が大切。保護者自身が抱く不安は、塾の先生のように客観的に子どもを見られる人に相談することが望ましい。
進路について
これからの時代は正解が一つに定まっているわけではない。どの高校に行くかが将来を決めるのではなく、自分で「やりたい」「できる」「やらないといけない」を見つけていく時代。そのために中学3年生の時点で、自分なりの理由を考えることが大切だと指摘されました。
こうして整理されると、「不安」というテーマが単なる心の問題ではなく、子どもたちにとっても保護者にとっても、そして地域の教育にとっても重要な問いであることがよく分かります。
学校でも家庭でもない価値
「晴れ舞台」さんは、受験をすべてとする考えではなく、子どもたちが社会に出て生きていく力を育てることを重視しています。そこは、私たちが掲げる「社会人としてのしなやかさを教える」というコンセプトとも強く共鳴するものでした。
不安の可視化圧縮の授業を通じて見えたのは、学校の先生とは違う距離感で寄り添い、保護者とも連携しながら、生徒自身に考えさせる機会を提供する塾の存在意義です。
宇陀市から広がる教育の未来
今回の機会をいただけた「晴れ舞台」さんに心から感謝しています。
そして、宇陀市議会の勝井議員をはじめ、多くの大人に見守られながら実施できたことは、今後の宇陀市の教育プロジェクトにとっても大きな励みとなりました。
学校でも家庭でもない「第三の学びの場」としての塾。その場で「不安」をテーマに向き合うことこそ、これからの教育に新しい可能性を拓くと感じています。