中小企業の経営戦略の変革の具体例|とある建設会社編

終わりが見えないコロナウイルスの感染拡大。

先行きが見えない時代といわれる現代において、中小企業は大きな変革を起こす必要があります。

この記事では、とある建設会社が起こした変革の失敗例と、そこからおおたかの森ファームのアドバイスによって業績をV字回復させた軌跡を紹介します。

目次

とある建設会社が起こした変革の失敗事例

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5人の従業員を雇用していた建設会社の話です。

従業員は20代~50代の男性で、いわゆる昔ながらの職人気質な会社。

まじめに勤務していた従業員ばかりでしたが、社長は更なるレベルアップを目指して教育強化を目的とした施策を投じたのです。

社長が感じていた課題

社長は、日給月給制という給与体系が従業員の成長を妨げていると感じておりました。

この会社に限らず、建設業の職人は日給月給制という給与体系が状態化しております。

日給月給制とは、1つの現場に対して日当という考え方で、業務が何時に終わったかは問わず、その現場の仕事が終わった時点でその日の仕事は終わりというスタイルです。

極端な話、午前中のみで作業が終わったらその時点でその日の仕事は終了し、1日分の日当が発生します。

逆に、陽が暮れるまで作業が続いても、午前中のみで作業が終わった日と日当は変わらないのです。

社長が投じた施策

社長はある日、日当月給制の廃止を決意しました。

月給制・または年俸制の固定給にすることで、従業員の年収アップに繋がると考えたのです。

通常のサラリーマンと同様の1日8時間労働を基準とし、現場の仕事が早く終わった日は事務所に移動して事務仕事をしてもらうことで、マネジメント能力を醸成していくことを目的とました。

事務仕事の能力が高い職人には手当を支給し、普通の建設業の職人では実現できない年収を得られるよう教育していきたいと考えたのです。

施策を投じたことで起きてしまった失敗

結果的に、その施策は失敗に終わりました。

5人いた従業員のうちの4人が退職してしまったのです。

更に、以下のような副作用を生むことに繋がってしまいました。

施策が生んだ副作用
  • 現場の職人が事務所で仕事することで、事務所が現場の待機所のような環境になってしまう
  • 職人の出入りが頻繁な事務所には、女性求人が集まらない

退職者が出たことによってできた穴を埋めようにも、職人と事務仕事の両方をやりたいと考える若者はおらず、思うように求人が集まりませんでした。

会社のレベルアップを目指して投じた施策が、会社の状態をマイナスの方向に大きく傾かせてしまったのです。

おおたかの森ファームが投じた事業スタイルの変換

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弊社は上記のような状態になってしまった建設会社の社長から相談を受けました。

弊社が投じた事業スタイルの変換について解説します。

おおたかの森ファームが立てた仮説

社長から相談を受けた弊社は、以下の仮説を立てました。

おおたかの森ファームが立てた仮説
  • 建設業の職人は日給月給制を好んでいる
  • これまでは早く仕事が終われば退勤できたのに、苦手な事務作業をすることに「やらされ感」を感じている
  • 悪天候で仕事が減れば、そのぶん収入も減る日給月給制よりも固定給の方が収入が安定するにも関わらず、そのメリットを感じていない

    弊社はこの仮説によって浮き彫りになった課題を解決し、更に社長が本来狙っていた会社全体のレベルアップに繋がるような施策を投じました。

    仮説をもとに投じた施策

    弊社が投じた施策は以下のとおりです。

    投じた施策 狙った効果
    日給月給制の復活 従業員の不満を無くす
    職人は現場仕事のみに専念する 従業員のやりがいに繋げる
    外部の下請け会社を拡充し、自社の職人を下請け会社の管理者とする 従業員のマネジメント能力の向上

    下請け会社と提携することで、事業の拡大に繋げる

    事務所スタッフとして、パートタイムの女性従業員を増員 事務業務の効率アップ

    施策によって生まれた3つの効果

    前述した施策を投じたことにより、建設会社には3つの効果が生まれました。

    施策によって生まれた3つの効果
    • 職人を現場仕事に専念させたことで、離職率が下がった
    • 材料発注~見積・決済、下請け会社への発注などを女性従業員がおこなうことで、職人は現場作業に、社長は営業に専念できるようになった
    • 各々が自分の得意領域の仕事に取り組むことで業績は回復し、従業員のやりがいに繋がった

      このように、相談時に浮き彫りになっていた課題を改善し、更に本来社長が考えていた目的の達成に対しても大きく前進できたのです。

      業績不振時に備えての対策

      先行きの見えない現代では、いつ想定外の事態が起きてしまうかは誰にもわかりません。

      業績不振時に備えての対策をしっかり打っておくことが大切なのです。

      つまり、状況に合わせて会社の規模や工数を変化できるような体制を整えておく必要があります。

      この建設会社では、業績不振時に備えて以下のような対策を投じております。

      いざというときの会社を小さくする方法
      • 協力会社への発注を減らし自社の職方のみを現場に入れる
      • 事務所内の女性スタッフを活用しWEBやSNSによ営業活動を増やし、新規案件獲得を社長の雑務を増やさずに実現する
      • その後の新規案件にて協力会社に実費を払ったうえで営業に同行してもらう

      上記の方法で、固定費を極端に圧縮しながらも次の顧客獲得へ向けての営業を止めず、むしろ強化することに繋がります。

      更に既存の売り先への依存度も減り、貸倒リスクなども激減したのです。

      まとめ

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      • 人・物・箱を大きくしたり小さくしたりできる
      • 会社を止めたり動かしたりできる
      • マーケットを変えてもすぐに売れる

      先行きの見えない時代を前進していくためには、このような柔軟に変化できる体制を整えることが大切です。

      おおたかの森ファームは、業種は問わず中小企業の経営戦略の変革に携わることができます。

      お気軽にお問い合わせください。

      須賀 孝太郎
      おおたかの森ファーム 代表取締役
      東京工業大学工学部を卒業後、工業デザイン事務所にてデザイン業務を経て、家業である税理士事務所に入社。そのノウハウを生かし経営コンサルティング おおたかの森ファーム株式会社 を設立。ボクシング好きの三児の父。
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