ITやコンサルティング業等は比較的新しい業種のため、販売価格や売上を上下させてしまう不要なしがらみはさほどないはずです。
取引相場も、物価につられて上昇しているように思います。
その一方で、昔ながらの事業である一次産業や建設業・観光業は、しがらみの中で売上単価が変わらず死活問題になっているケースが少なくありません。
後者は長年物価変動がなく、デフレが続いた日本では円と物の時価の結びつきが強くなりすぎているのが問題点です。
特に、モノや作業料金などは長年に渡って値段・相場を決めつけてしまっています。
そんな中で、販売価格を上げる決断ができず、よって売り上げも上がらずに八方塞がりになってしまっている中小企業も多いはず。
この記事では、販売価格の停滞から脱却するために必要な考え方をお伝えします。
販売価格が停滞している理由は「普通」に縛られているから
あなたの会社の商品やサービスは、ありもしない「普通」に縛られていませんか?
販売価格が停滞している理由は、その「普通」に原因があるのかもしれません。
普通に縛られている例①
「卵は普通いくら」「エアコンの取り付け工事は普通いくら」など、中小企業だけでなく、街ゆく主婦達もモノやサービスの値段に根拠のない基準を設定しています。
長年デフレが安定しすぎてしまった日本では、このありもしない「普通」に現場が苦しめられているのです。
あらゆるモノやサービスの「普通」は、国内・場合によっては地域内の基準がまかり通っています。
すでに人手不足や原料不足でモノやサービスが足りなくなっているにも関わらず売価を上げられないのは、狭い世界での「普通」に縛られているためです。
普通に縛られている例②
足りないものは価格をコントロールして安定した収益をあげないといけません。
例えば、ホテルや分譲マンションなどがいい例です。
ホテルは部屋数が限られています。
平日も土日も安く提供していれば、すぐに満室になって傍からみれば繁盛しているように見えるでしょう。
しかし、無理して安く提供しても利益を上げられなくなってしまいます。
ギリギリ満室になる絶妙な値段、それが適正価格になるのです。
同じく、分譲マンションも即売してしまっては営業マン失格です。
すぐに作れない限られた商品で、いかに最大限の利益を生むか。
そのためには安易に即売することは得策とはいえず、緻密な計算と駆け引きが必要なのです。
販売価格の増額・売上増額のための考え方
実態なき「普通」を破壊するには、時代の変化や流れに対応することが最善です。
ただ、そのためには準備が必要です。
まずは、自社としての製造原価・販売原価・目標利益などを設定し、適正な売値を探しましょう。
さらに、競合他社の高級製品や海外の同製品の相場も勉強しましょう。
すでに日本の製品やものは、世界から見るとお得になってしまってます。
既存の売り先に昔からの「普通の値段」で売っているだけでは、売値は微増する程度です。
「狭い業界だから」というのは言い訳に過ぎず、「昔お世話になったから」という一見律儀な考えは成長の妨げになってしまいます。
日本という凝り固まったマーケットでは、出る杭は叩かれてしまいます。
しかし、叩かれるのを恐れて現状を維持していると手遅れになってしまいかねません。
外の世界から学ぶ際のポイント
情報が溢れている今、端から端まで見ているとキリがありません。
まずは物価の高い地域に訪れたり、関連した情報をみたりなどして、高く売ることの感性をみがくことが重要です。
「付加サービスをつける」「おもてなしをつける」など、元来日本がやってきたことだけが高く提供するための方法ではありません。
使わない機能を増やすことが高グレードでもないし、人がフルに対応することが最高級でもありません。
むしろ、シンプルで簡潔にサービスを受けられる「スピード感があること」が価値となりつつあります。
「スピーディーな提案」「流動的な対応」「トラブルに対する確かなアフターフォロー」などが求められていることは確かです。
ただ、サービスの提供前にそれを伝えることは容易ではありません。
まずは先端的な国・地域・コミュニティを訪れ、ネットワークを構築していきましょう。